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尿管結石

おしっこの悩み(泌尿器科)について

尿路結石(腎結石、尿管結石)について

尿路結石(腎結石、尿管結石)について

尿管結石になって治療しました。もうあんな痛いことは二度としたくないのですが、カルシウムは摂らない方がいいのでしょうか?
よく患者さんに質問される内容です。
尿管結石は「七転八倒」する痛みと形容されるように、起こってしまうとつらい病気ですので、予防はとても大切です。後ほど予防・治療法で質問にお答えします。

腎臓の働きは何でしょうか

「尿に大切なのは主に3つ」

  • 老廃物を「おしっこ」として排泄する(毒素を排泄します)。
  • 体の水分量を調整する(脱水になると尿が濃くなります)。
  • 体のミネラルバランス(ナトリウム、カリウム、クロール、カルシウム、マグネシウム等)を調整する。

※その他の働きには、血圧の調整、血液の酸性・アルカリ度の調整、ビタミンDの活性化、ホルモンの分泌などがあります。
今回大事なのは、「おしっこ」の中にはたくさんのミネラルや老廃物が含まれているのです。

腎結石、尿管結石とは

尿路のイラスト

「おしっこ」の中のミネラルやその他の成分が結晶となり、それを核にだんだんと成長し結石となったものです。
どの場所に石があるかによって「腎結石」や「尿管結石」と名称が異なりますが、いずれも「尿路結石」のひとつになります。結石にも種類があり、成分によって原因や予防法も変わります。
特に多いのはシュウ酸カルシウム結石/リン酸カルシウム結石(約90%)、尿酸結石(約5%)です。これからは主に90%を占めるシュウ酸カルシウム・リン酸カルシウム結石について説明します。

尿酸結石
についてはこちら

尿路結石の症状には何があるでしょうか

健康診断で腎結石を指摘された方は通常は無症状だと思います。実際に5mm以下の腎結石は、生涯腎結石で有り続ける(尿管へ落ちない)事もよくあります。結石が大きくなる、数が増えていく場合は治療が必要になることもありますので、腎結石があった場合は、数が増えないか大きくならないか定期検査が大切です。

ただし、原因ははっきりとしていませんが、何らかのきっかけで腎結石が尿の流れによって尿管に落ちることがあります。尿管の太さは伸縮はしますが通常3mm程度ですからここへ結石がつまると尿の流れが途絶え、たちまち腎臓が腫れ上がってしまいます(水腎症)。
尿管結石は、尿管自体の痛みだけでなく、石が尿の流れをせき止めることにより腎臓が腫れ上がることによっても痛みがでるのです。
冒頭に述べたように、一般に尿管結石は痛みが非常に強く、冷や汗や嘔気・嘔吐を伴うことも少なく有りません。また痛みには波があり、一旦引いたと思ったらまた強い痛みがやってくる「仙痛(せんつう)」が特徴的です。血尿を伴うことも多く、目で見えないレベルでも検尿では血尿が確認されます。

尿路結石の診断

1. 尿検査

肉眼ではわからない血尿(尿潜血)を調べることができます。また尿の酸性度がわかります。

2. 超音波検査

超音波検査では、尿を排出できないために腫れ上がった腎臓を確認します(水腎症)。尿管結石自体は、超音波では確認が難しい事が多いです。

3. レントゲン検査(KUB)

結石の位置や大きさを診断できます。位置や大きさから排石が可能か、侵襲的な治療が必要かを判断します。ただし、カルシウムを含まない結石(尿酸結石など)はレントゲンを透過してしまうため、レントゲンには映りません。

4. 血液検査

腎臓が腫れること(水腎症)で、腎機能が悪化するため確認が必要な事があります。また、細菌感染を起こしていないかも診断が可能です。

5. CT検査

結石の位置など詳細に調べる必要がある場合にはCT検査が行われます。

治療にはどんなものがありますか。
5mm以下の結石は自然排石が期待できるため、まずは保存的加療が行われます。尿の流れを利用して、「自然」に(自力で)排石するのを待ちます。できる限り水分を多くとります(最低一日2L)。また疼痛に対しては痛み止め(非ステロイド性消炎鎮痛薬)や尿管のけいれんを抑える薬で対処します。
10mm未満の結石でも、3人に2人は4週以内に自然排石されます。しかし、排石に時間がかかると腎臓へのダメージが懸念されるため、状況により体外衝撃波(ESWL)や経尿道的尿管結石破砕術(TUL)等の侵襲的な治療が必要かを判断します。

尿路結石の予防法

尿路結石は再発が多い病気ですので、予防も大切です。水分を多くとり、バランスのよい食事に適度な運動が有用なことは、他の生活習慣病と同じです。

ここでは、シュウ酸カルシウム結石の食生活の注意点をお示しします。

1. シュウ酸の多い食べ物は工夫しましょう。
ほうれん草のおひたし

シュウ酸を多く含む食べ物にはホウレン草、タケノコ、チョコレート等があり、飲み物ではココア、紅茶、緑茶が挙げられます。特にシュウ酸を多く含むホウレン草やタケノコは、茹でたり、おひたしにすることで、摂取量を減らすことができます。

シュウ酸は体内に摂取しない方がよいのですが、カルシウムは逆に摂取をした方がよい成分になります。特にシュウ酸を含む食品を食べるときには、一緒にカルシウムを含む食品を食べると、腸の中でシュウ酸カルシウム結晶となりそのまま吸収されずに、便に排出されます。
具体的には、ほうれん草のおひたしにはちりめんじゃこ、紅茶にはミルクを入れてミルクティーにするなどです。

2. シュウ酸カルシウムの結晶を尿中で作らせない環境を作りましょう。

クエン酸(レモンなどの柑橘類)は、尿中のシュウ酸とカルシウムが結合するのを抑制する働きがあります。また、尿が濃くなるとその分シュウ酸やカルシウムの濃度も高くなり石ができやすくなるため、心不全や腎不全などの持病がなければ一日1.5~2Lの水分補給を心がけましょう。

文責

ほその内科おなかクリニック

院長 細野 智子

  • 医学博士
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化管学会胃腸科専門医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 日本内科学会認定内科医
  • 緩和ケア講習会修了
  • 日本泌尿器科学会専門医(〜平成29年)
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