高尿酸血症について
「プリン体ゼロ」のビール飲んでても尿酸値が高いままなんですが…
高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が高くなり、7.0mg/dlを越えた状態です。尿酸値が高い状態が続くと、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の発症・悪化に関係し、動脈硬化の進行にも関与します。
血中の尿酸が高くてもしばらくは何の症状もありません。しかし、その間にも徐々に体内で尿酸が結晶化し、からだのあちこちに沈着しはじめ、体に悪影響を及ぼしていくのです。
尿酸値が上がる原因
生活習慣病の一つであり、肥満傾向にある成人男性に多くみられる疾患です。
水分をあまりとらずに、尿酸のもとになるプリン体を多く含む食事や飲料を取る生活を続けていることが原因として挙げられます。プリン体はもちろん含んでいないほうがよいのですが、アルコール自体が、体の中にあるプリン体の分解を促進し、尿酸の尿中への排泄機能を低下させる働きがあります。つまり、アルコール摂取量が多くなると結局は血中の尿酸値は上がってしまいます。
目安量としては、日本酒1合、ビール500ml、ワイン200ml、ウイスキー60ml程度となります。
※高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(日本痛風・核酸代謝学会)より引用
残念ですが、お酒は種類によらずほどほどが良いようです。
高尿酸血症が引き起こす病気
- 痛風
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もっとも有名な病気は痛風発作でしょう。
尿酸の結晶が関節内にたまり、関節炎を起こします。とくに前触れもなく突然痛みが始まり、赤く腫れ、「風が吹いても痛い」などと表現される激痛が特徴です。痛風発作が起きやすい部位は、親指の付け根、足の甲、手首などです。
- 尿酸結石、痛風腎
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血中の尿酸値が高いと、腎臓でも尿酸が結晶化しはじめます。また、尿が尿酸により酸性になるため、尿酸が尿に溶けきれず石がつくられるようになります。腎臓でできた尿酸結石が、尿の流れによって尿管へ落ちると、尿管結石と呼ばれる激しい痛みを引き起こします。
腎臓の実質に細かな尿酸の結晶がつまると、腎機能の低下が起こりいわゆる痛風腎と呼ばれる慢性腎炎が起こります。痛風腎のみで透析に至る方は昨今ではごく稀ですが、他の(糖尿病性腎症などの)原因でも腎機能にダメージがあると腎臓への影響は甚大です。
治療
尿酸値が7mg/dl台で、痛風発作の既往がなければ、食事・運動療法で生活習慣を見直すことから始めましょう。
尿酸のもとになるプリン体が日々の食事にどれだけ含まれているか確認してみましょう。
また尿酸は尿から排出されるため、十分に水分をとるように心がけましょう。
尿酸値が8mg/dlを越える、もしくは7mg/dl台でも痛風発作を起こしたことがある場合は、薬物療法と生活習慣の見直しの両方が必要になります。
- 生活習慣の改善
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- カロリーのとりすぎに注意しましょう。
- 尿酸のもとになるプリン体のとりすぎに注意しましょう。
- 水分をとり、適度な運動を行いましょう。
- アルコールは適度な量にしましょう。(上記参照)
- アルカリ性食品をなるべく食べましょう(血液や尿が酸性に偏ると尿酸が結晶化しやすいため)。
プリン体の多い食べ物
- レバー類(鳥、豚、牛、あん肝)
- カツオ
- マイワシ
- サンマなどの干物
尿をアルカリ化する食品
- 海藻(ひじき、こんぶ、わかめ)
- きのこ類(干し椎茸)
- 大豆
- 野菜(ほうれんそう、ごぼう、なす等)
- いも類(さつまいも、じゃがいも)
※肉類、魚介類、卵類などは尿を酸性化します。
- 薬物療法
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尿酸を下げる薬は、尿酸が作られるのを抑える薬(尿酸生成抑制薬)と、尿酸を尿へ出しやすくする薬(尿酸排泄促進薬)の2種類があります。
基本的には、尿酸排泄促進薬のみだと、尿中の尿酸が増えて結石ができやすくなるため、尿酸生成抑制薬を使用します。患者さんの状態によっては尿をアルカリ化する薬を組み合わせながら尿酸排泄促進薬も併用することがあります。
当院では、患者さんのご年齢や、合併するご病気等に合わせて個々人にあった治療、お薬を提案させて頂きます。検診で高尿酸血症を指摘された、痛風発作を起こしたことがあるなどお悩みの際にはお気軽にご相談ください。
文責
ほその内科おなかクリニック
院長 細野 智子
- 医学博士
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化管学会胃腸科専門医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 日本内科学会認定内科医
- 緩和ケア講習会修了
- 日本泌尿器科学会専門医(〜平成29年)