骨粗しょう症について
~閉経後の女性の方、要注意です~
骨は硬く石灰化しているので意外かもしれませんが、骨でも新陳代謝が行われています。新陳代謝(しんちんたいしゃ)とは、からだの古い細胞が壊れて、新しい細胞に入れ替わることです。髪の毛が生え変わったり、皮膚の古い角質がとれたり、爪が伸びたりするのも新陳代謝によるものです。からだ中の細胞で新陳代謝が行われおり、とくに骨では骨代謝と呼ばれています。
年をとってからも、絶えず古い骨は溶かされて(破骨細胞による骨吸収)、新しい骨が作られています(骨芽細胞による骨形成)。骨粗しょう症は、新しい骨が作られるよりも、古い骨が溶けていくスピードが早いことで発生します。どんどん、骨がとけて、骨の中がスカスカになっていきます。その結果、骨はもろくなり、骨折しやすくなります。とくに女性で起こりやすく、気づかないうちに背中が丸くなったり、背が低くなったりするのも特徴です。
一度骨粗鬆症が進んでしまうと現在の医療では元に戻すことができません。
背骨の圧迫骨折や大腿骨骨折により、ある日を境に急激に生活の質が落ちる危険のある病気ですので、早いうちから骨粗鬆症の悪化を防ぐことはとても重要です。
骨粗鬆症の原因
とくに閉経後の女性に多いとされています。女性ホルモンの一種であるエストロゲンには骨が溶かされるのを抑える作用があります。
女性ホルモンは閉経後に低下するため、閉経をきっかけに骨量が急に減り始め、骨粗しょう症になりやすくなります。
骨粗鬆症の診断
- 骨密度(骨量)測定検査
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骨密度(骨量)測定検査を行い、骨のカルシウムやミネラルの量を計ることで骨粗しょう症になっているかを調べることができます。
若年層(20~44歳)の骨密度の平均値(YAM)と比較して自分の骨密度が何%であるかで判断します。
当院ではMD法という手の骨を用いた骨量測定を行なっております。
- レントゲン検査
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胸や腰の背骨のX線写真で骨の質(スカスカになると骨に縦スジが入ってきます)や腰椎の変形および圧迫骨折があるかなどを調べます。
- 骨代謝マーカーの測定
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血液検査にて骨代謝が現時点でどのような状況になっているかが分かります。骨形成マーカー(BAP(骨型アルカリフォスファターゼ)など)、骨吸収マーカー(TRACP-5b(酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ-5b)など)、骨質マーカー(ucOC(低カルボキシル化オステオカルシン)など)の3種類があり、どの骨代謝に問題があるかを明らかにしたり、治療の効果を見極めることにも使うことができます。
- 原発性骨粗鬆症の診断基準
Ⅰ 脆弱性骨折がある場合 | 1 椎体骨折または大腿骨近位部骨折がある |
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2 その他脆弱性骨折があり、骨密度がYAMの80%未満 | |
Ⅱ 脆弱性骨折がない場合 | 骨密度がYAMの70%以下または-2.5SD以下 |
※骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版より抜粋
治療
- 骨を丈夫にするためにカルシウムやビタミンDを多く含む食事を心がけ、骨を支える筋肉を鍛えるために適度な運動を行いましょう(食事内容については詳しくは当院パンフレットをご覧ください)。
- 骨粗しょう症は、加齢や女性ホルモンの低下が主な原因になっていることがあり、その場合は食事や運動だけでは改善が難しい場合もあります。
- 薬物療法については、お薬によって様々なメリット・デメリットがありますので、当院では骨粗しょう症の程度や患者様のライフスタイルに応じて、個別に対応させて頂いております。
上記症状のあてはまる方は、お気軽にご相談ください。
文責
ほその内科おなかクリニック
院長 細野 智子
- 医学博士
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化管学会胃腸科専門医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 日本内科学会認定内科医
- 緩和ケア講習会修了
- 日本泌尿器科学会専門医(〜平成29年)