甲状腺機能低下・亢進症について
甲状腺ってなに?
甲状腺は首の真ん中、気道の上に乗っている蝶の形をした臓器です。甲状腺は主に甲状腺ホルモンを分泌する内分泌器官です。甲状腺ホルモンは身体の活動を活発にするのを促す作用があり、具体的には体温を上げる、新陳代謝を促進する、利尿を促す、心臓の動きを増強するなどです。
甲状腺機能低下症とは
甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの量が減少している状態をいいます。甲状腺自体に病気があって甲状腺ホルモンの分泌量が減っていたり、甲状腺自体の機能は保たれていても、その上層部にあたる脳からの司令(甲状腺を刺激するホルモン)が低下している場合も甲状腺機能は低下します。
甲状腺ホルモンの作用は多岐にわたるため、症状もさまざまです。代表的なものは下記になります。
- 甲状腺機能低下症の症状
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- 体のむくみ
- 疲労感
- 無気力
- 月経異常
- むくみによる体重増加
- 便秘
- 脱毛(びまん性、円形脱毛症)
- 甲状腺機能低下症の原因・治療
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最も多い原因は「橋本病」で、30~40歳代の女性が罹患しやすい病気です。
原因は不明ですが、体内に自分自身の甲状腺を攻撃するタンパク質や細胞ができてしまうことによって起こります。診断には甲状腺を攻撃するタンパク質(抗サイログロブリン(Tg)抗体・抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体)の数値が上昇していることを確認します。多くの方は、甲状腺ホルモンの数値が軽度下がるも基準値内で推移しますが、経過中に症状を伴う甲状腺機能低下症を発症することがあるため注意が必要です。
血液検査で甲状腺ホルモン(FT3、FT4)の減少、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の上昇が減少しているかを確認して診断を行います。症状があるなど内服治療が必要な場合には、合成甲状腺ホルモン(チラージン)の投薬を行います。
甲状腺機能亢進症とは
甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンが必要以上に増加している状態で、バセドウ病が代表的な疾患です。この病気も橋本病と同じ様に、甲状腺を攻撃するタンパク質が体内でできてしまう事による自己免疫疾患です。しかしながらこちらのタンパク質は甲状腺を刺激して過剰に甲状腺ホルモンを分泌させてしまいます。
甲状腺ホルモンが過剰になると、動悸(不整脈)、発汗、代謝の上昇による体重減少などを引き起こします。甲状腺機能亢進症は重篤な症状を引き起こすこともあり、手術や放射線治療など専門的な治療が必要なことも多いため、甲状腺機能亢進症が認められた場合は、当院では専門医療機関をご紹介させて頂きます。
疲れがとれない、足がむくむ、急に脱毛がめだってきたなどの症状がある方は、甲状腺機能を検査した方が良いかもしれません。他疾患の可能性も含めて診察させて頂きますのでお困りの方はお気軽にご相談ください。
文責
ほその内科おなかクリニック
院長 細野 智子
- 医学博士
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化管学会胃腸科専門医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 日本内科学会認定内科医
- 緩和ケア講習会修了
- 日本泌尿器科学会専門医(〜平成29年)