こんにちは。

10月も半ばを過ぎ、だいぶ涼しくなって過ごしやすくなってきましたね。
運動の秋、にちなんだお話を今日はしたいと思います。

 

糖尿病、脂質異常症、その他の生活習慣病でも疾病の進行予防に「適度な運動」が推奨されています。
この「適度な運動」とは具体的には何をすればよいのでしょう?

一つの答えとして、厚生省が「健康づくりのための身体活動基準2013」で一定の基準を示しています。
運動をするかたはご存知かもしれませんが、この基準は「メッツ法」に基づいて作られています。

メッツ(METs)とは運動強度の単位で、
運動時のエネルギー消費量(1MET=酸素消費量3.5ml/kg/分で換算)が、安静時を1として何倍かを示す値になります。

1メッツ(安静)イメージ画像メッツの概念は1980年代に研究用に提唱され、1990年代に国際基準として使用できるように形を変えながら、2000年代には市民レベルで使用できるレベルになりました。メッツによる考え方は大変有用だとは思いますが、そのすべてを実生活に持ち込むにはハードルがやや高すぎますね。自分で計算するのはむずかしいので、運動や日常の活動に対するメッツ数が公開されています(後述)。

 

では、健康づくりのための身体活動基準がどのようなものか見てみましょう。

18歳〜64歳の場合

● 日常生活では、強度が3メッツ以上の運動を23メッツ・時/週行う。具体的には、普通歩行又はそれと同等以上の運動を毎日60分行う

ガイドラインによれば、日本人を対象としたメタ解析を行ったところ、22.5メッツ・時間/週の生活を送ることで生活習慣病の予防や生活機能を維持できるとの結果がでていることから、23メッツ・時/週行う事が推奨されています。

「国立健康・栄養研究所」で検索し、研究関連ページの欄の「メッツ表」にアクセスしていただければ一覧が記載されています(著作権の問題でリンクを貼ることができません。)。

水泳などのスポーツ、釣りやダンスなどの趣味、家事全般などかなり詳細に記載されていますのでざーっと一度ご覧になられることをお勧め致します。

なお、元祖のメッツは体重70kgの白人で40歳代を基準として作られた指標ですので、ネット検索の仕方によっては同じ運動でも異なるメッツが出てきます。日本人対応のメッツを参照するようにしてください。

(補足1)

メッツ(X)・時間(Y)とは、Xメッツの運動をY時間行ったことを意味します。普通の歩行=3メッツの運動を30分行った場合、3(メッツ)×0.5(時間)=1.5メッツ・時間となります。

(補足2)

メッツは酸素消費量換算であるため、概算でカロリー計算ができます。体重×メッツ×時間=消費カロリーになります。60kgの人が、普通の歩行(3メッツ)を30分(0.5時間)を行うと60(kg)×3(メッツ)×0.5(時間)=90kcalになる計算です。

 

さきほどの厚生省が推奨する活動量の場合(23メッツ・時間/週)にあげられる具体例をみてみましょう。

1日に歩行(3メッツ換算)を60分(1時間)→1週間(7日間)では21メッツ・時間/週

  • 犬の散歩をする 3.0 メッツ
  • そうじをする 3.3 メッツ
  • 食事の準備 3.5メッツ

犬の散歩イメージ画像毎日…となると少々大変な印象ですが、犬の散歩や家事を行う方ならばクリアーできそうですね!



さらに疾病の予防効果を上げるには、日常的な運動を生活に取り入れることが推奨されています。

● 強度が 3 メッツ以上の運動を 4 メッツ・時/週行う。具体的には、息が弾み汗をかく程度の運動を毎週 60 分行う。

  • ゴルフ(3.5~4.3 メッツ)
  • 卓球(4.0 メッツ)
  • ゆっくりとしたジョギング(6.0 メッツ)
  • ハイキング(6.5 メッツ)

ジョギングイメージ画像週に1回60分、もしくは2回30分、上記の運動を取り入れるように心がけましょう。
私自身も耳が痛い内容です。
でも、言い訳して運動を怠ったことで一番困るのは誰でもない自分ですものね。
クリニック開院以降、まったく運動らしいことをしていないのでなんとかせねば…

65歳以上の方、持病がある方への指針はまた別にあるのですが、長くなりましたので次回にお話させて頂きます。