ヘリコバクター・ピロリ感染症検査・除菌療法
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ピロリ菌は、
胃がん、胃潰瘍の原因に
なります -
ピロリ菌に
感染していても多くの方は症状がありません -
除菌後も
定期的な
胃カメラ検査が重要です
ヘリコバクター・ピロリ菌は胃に住んでいる菌です。
多くの方は小児期に感染し、無症状のまま何十年と慢性感染の状態になります。
一方、胃の中では、「萎縮性胃炎」と呼ばれる慢性の胃炎が進行します。最初は胃の前庭部という場所に限局して「萎縮性胃炎」が起こり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が発生しやすくなります。そして、胃の全体に「萎縮性胃炎」が広がると胃がんや胃過形成性ポリープが発生しやすくなります。
- 2013年より、「萎縮性胃炎」を有するヘリコバクター・ピロリ感染症に対して除菌療法が適応となりました。
- 当クリニックではピロリ菌感染の有無を調べる検査ができ、胃がん予防のため除菌療法に力を入れています。
当院のピロリ菌治療について
ピロリ菌の感染診断・除菌療法は、保険診療では胃カメラ検査後にしか施行できません。
胃カメラでまず胃がんなど、優先して治療が必要な病気が無いか確認後にピロリ菌の診断・治療にあたって参ります。人間ドックなど自費診療でピロリ菌検査を先にされた方は、胃カメラを受けて頂いてからの除菌療法になります。
当院でのピロリ菌感染の診断は、原則胃カメラ施行時に迅速ウレアーゼ試験を行なっております。この検査は、感度85%〜95%・特異度95%〜100%の検査で、当日に結果説明が可能です。偽陰性が疑われる場合は、別検査でのダブルチェックをお勧めしております。
ピロリ菌の除菌療法について
- ●通常のお薬ではなかなか除菌ができません。
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ピロリ菌は、胃の中でも生きられる菌ですので、通常のお薬ではなかなか除菌ができません。
除菌の標準治療は、抗生剤2種類と胃薬1種類を1日2回、7日間服用して頂くものになります。当院では、新しい胃薬を組み合わせたボノサップを採用しております。
残念ながら除菌不成功であった場合は、抗生剤の種類を変えた2次除菌療法(ボノピオン)を行なっております。(ペニシリンアレルギーの方は下記をご覧ください。)
- ●除菌の判定は尿素呼気試験で行います。
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添付文書上、1次除菌の除菌成功率は約92%、除菌が成功しなかった人への2次除菌の成功率は98%と従来のものに比較し除菌率は格段に向上しました。
除菌の判定は、除菌内服終了後2ヶ月以降に、尿素呼気試験で行います。
検査薬を内服する前と後の2回採取バッグに息を吹き込むだけで判定が可能です。
除菌が成功したら
除菌が成功すると、「萎縮性胃炎」の赤みは治まり、炎症の範囲も徐々に狭くなっていきます。しかしながら完全に「ゼロ」の状態にはならないことが多いです。
除菌成功後には胃がんの発生率が3分の1に減少する報告があります(文献1)が、やはりピロリ菌に感染をしたことのない方よりは高めで推移しますので、最低でも1年に1回は必ず胃カメラ検査を受けるようにして下さい。
※文献1:Nakajima S, et al: Helicobacter 8(4):279-293, 2003
ピロリ菌が2次除菌までで消えなかった方、ペニリシンアレルギーの方
5年前より以前の除菌療法では2次除菌まで不成功となる方は全体の3%ほどおられました。
新しい胃薬(ボノプラザン)を組み合わせた場合は理論上0.2%となります。
以前の除菌療法で不成功だった方は、再度ボノプラザンを組み合わせた治療をご相談させて頂きます。
3次除菌療法以降
3次除菌療法以降は、保険適応外となり、確立した薬の種類・方法がありません。
また、保険診療では全てペニシリンを使用した除菌療法であるため、ペニシリンアレルギーの方は除菌療法を受けることができません。
当院では、自費診療であることをご理解頂いた上で、下記の組み合わせによる除菌療法を行うことが可能です。
・3次除菌の方
タケキャブ(20) | 2錠 |
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パセトシン(250) | 6錠 |
グレースビット(50) | 4錠 1日量分2朝夕食後・7日間分 |
・ペニシリンアレルギーの方
タケキャブ(20) | 2錠 |
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フラジール錠 | 2錠 |
グレースビット(50) | 4錠 1日量分2朝夕食後・7日間分 |
除菌率は報告により様々ですが、おおよそ70%~95%です。
自費診療費用について
診察料 (初診・服用後副作用確認・除菌判定結果説明3回分) |
5,000円 |
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薬剤料 (初診時当日お渡し不可) |
約11,000円 (薬剤により異なります) |
服用2ヶ月後、除菌判定検査 | 5,000円 |
文責
ほその内科おなかクリニック
院長 細野 智子
- 医学博士
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化管学会胃腸科専門医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 日本内科学会認定内科医
- 緩和ケア講習会修了
- 日本泌尿器科学会専門医(〜平成29年)