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胃食道逆流症(逆流性食道炎)

消化器内科

胃食道逆流症(逆流性食道炎)について

胃食道逆流症(逆流性食道炎)

どんな病気ですか?

胃食道逆流症(Gastroesophageal Reflex Disease: GERD:ガードと呼びます)とは、胃酸が食道に逆流することにより、「胸やけ」や「口の中が酸っぱい/苦い(呑酸)」、胸のあたりの不快感などの症状が起こる病気です。
おなじ病気のように思われますが、逆流性食道炎は胃食道逆流症の一部で、胃酸などの消化液が食道に逆流することにより、食道粘膜に炎症(びらんや潰瘍)を引き起こす病気です。

胃酸の逆流によって最も酸に暴露される場所は食道と胃の境目になりますが、慢性化/重症化すると口側へと範囲が広がっていきます。

また、胃酸が逆流することで胸やけなどの症状があっても逆流性食道炎は生じない場合(症状だけ)、非びらん性胃食道逆流性(Non-erosive reflex disease NERD:ナード)と呼びます。

GERD、NERD、逆流性食道炎の分類は下図のようになります。

逆流性食道炎の分類
  • 胃食道逆流症(GERD)=胸やけ・呑酸などの症状がある。
  • 非びらん性胃食道逆流症(NERD)=胸やけなどの症状はあるが、食道炎は認めない。
  • 逆流性食道炎=胃酸の逆流により、食道の粘膜が障害(びらん、潰瘍)されている。

GERDは身近な病気です。

GERDは10人に1人かかっていると言われる頻度の高い病気です。特に65歳以上になると6人に1人に上昇します。

日本では、1970年代から2000年にかけて急激にGERDの罹患率が増加しました。主な原因としては、胃に住むピロリ菌が関係していると推測されます。以前の日本人のピロリ菌感染率は50%を超えていましたが、昨今のピロリ菌除菌の啓蒙運動によりピロリ菌感染率は低下の一途です。ピロリ菌除菌は胃がんや胃潰瘍予防にはとても良いことですが、ピロリ菌は自身が胃の中で住みやすくするために胃酸を弱める物質を産生するため、ピロリ菌が居なくなると胃液の酸度が上がります。その結果、残念ながらGERDになる人が多くなるのです(ピロリ除菌後にGERDを発症されても1年ほどで落ち着くことが多いと言われています)。また、食事の欧米化により胃酸分泌が促進されることも原因として挙げられます。

興味深いことに、胃カメラで逆流性食道炎を指摘される人は意外に少なく、NERDの方が60%程度を占めると報告されています。逆に、内視鏡的に逆流性食道炎の所見があるにも関わらず、3人に1人は無症状と報告されています(日本消化器病学会雑誌102(2005)8号p. 1010-1024)。

どんな症状がありますか?

代表的な症状は、「胸やけ」と「口が酸っぱい/苦い(呑酸)」です。

「胸やけ」とは、胸からみぞおちにかけて感じるヒリヒリした違和感で、辛い物を食べた時や度数の高いアルコールを飲んだ時にも似たような感覚がおこります。「呑酸」とは、特に起床時に起こりやすく、口の中やのどの奥の方に酸っぱいものが上がってくる症状のことです。

上記2つの症状は理解しやすいと思いますが、胃酸が逆流することによって、他にも様々な症状がおこります

胃酸が気管支・肺に入ることで「慢性に持続する咳(慢性咳嗽)、喘息の悪化」、喉が胃酸で荒れてしまい炎症が起きる「のどのむくみ・いがいが(喉頭炎)」、口の中が酸性になることで「虫歯(酸蝕症)」が起こります。就寝中に胃酸が逆流しやすいため、咳で起きたりすることで睡眠の質が下がることもあります。

なぜ胃酸の逆流が起こるのでしょうか?

胃酸逆流のメカニズムが分かるようになると、気を付ければよい食事内容や生活習慣が理解しやすくなります。

まず、胃の中は胃酸の働きにより、pH 1~2の強い酸性状態にあり、体の中でも特殊な環境にあることを忘れてはいけません。食べ物が胃を出て十二指腸に排出されると、アルカリ性の腸液によって中和されます。食道粘膜は通常pHは4以上であり、強酸性には耐えられません。

このため、普段は下部食道括約筋(Low esophageal sphincter: LES)が締まっており、胃から食道へ逆流は起こらないようになっています。何かを食べたり飲んだりすると(嚥下運動)、蠕動運動といって波のように食道から胃へと収縮運動が伝わり、下部食道括約筋(LES)の締め付けがゆるまり(弛緩)、食道から胃へ食べ物を送り込みます。胃酸の逆流はこの一連の協調運動がうまくいかない場合に起こります。また、逆流現象の多くは、食べ物を食べた時に起こる嚥下運動とは関係なく生じるLESの弛緩によっておこり、たとえば胃内の空気が逆流する「げっぷ」のメカニズムでもあります。つまり、誰でもたまには食道内に胃酸が逆流するのです。ただ、逆流している時間が長くなると食道粘膜の炎症を起こすようになります。

逆流や食道炎を起こしやすい環境とはどういう状況でしょうか?

逆流や食道炎を起こしやすい環境
  • LESが緩んでいる。
  • 胃圧、腹圧がかかっている(肥満、コルセット、力仕事など)。
  • 胃の中に食べたものが停滞する。
  • 胃酸分泌が多い。

下部食道括約筋が緩んで食道裂孔ヘルニアという別の病気が原因になっていることもあります。なお、NERDの患者さんでは食道の知覚過敏が原因の一つであるとわかっています。NERD患者さんでは酸に対する刺激が強いのみならず、水などの物理的な刺激だけでも症状が誘発する報告もあります。

~詳しく知りたい方へ~ LES(下部食道括約筋/括約機構)とは

LES(下部食道括約筋/括約機構)とはLESとは「下部食道括約筋」と日本語訳されることが多いですが、解剖学的にはこのような名前の筋肉は存在しません。LESとは本来、「胃酸逆流を防ぐ高圧帯を示す言葉」です。
LESを構成するものには下部食道の筋層、胃の斜走筋、横隔膜の筋束(特に横隔膜右脚)などがあり、「括約筋(開閉できる筋肉)のような機構」を作っているのです(StatPearls Publishing; Treasure Island (FL): May 9, 2021. Physiology, Esophagus)。
健常な人においては、食道から胃へはLES部でイラストのように斜めに入ります。

どうやって診断しますか?

症状と胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)により診断を行います。

内視鏡検査で用いられる逆流性食道炎の重症度分類としてロサンゼルス分類(LA分類)が一般に使用されます。こちらは、食道と胃の境界(食道胃接合部)の炎症による粘膜障害を分類したものです。

正常(Grade LA-N)
Grade LA-M(Minimal change)→ A → B → C → D

の順に悪化します。
しかしながら、胃カメラの重症度と症状の強さは相関しないことがわかっており、GradeDでも症状のない方も居られます。また、逆流性食道炎を繰り返すとバレット粘膜を合併することがあります。バレット食道は食道がんの原因となることがあり注意深い経過観察が必要です。

正常所見LA-N

正常所見LA-N

矢印部分が食道と胃の境界にあたり、食道胃接合部といいます。

逆流性食道炎LA-M

逆流性食道炎LA-M

食道胃接合部が白く濁っています。

逆流性食道炎LA-A

逆流性食道炎LA-A

食道胃接合部で楔形(くさびがた)の炎症が生じています。炎症の長さが5mm未満のためGrade Aです。

逆流性食道炎LA-B

逆流性食道炎LA-B

食道の炎症が細長く口側に伸びています。またスキップして縦走する炎症も見られます。長さが5mm以上あるためGrade Bの状態です。

逆流性食道炎LA-C

逆流性食道炎LA-C

食道の炎症が細長く口側に伸びています。また、食道胃接合部の一部で炎症の幅が広くなっており、Grade Cの状態です。

治療法は?

胃カメラでの重症度分類がGradeLA-M、GradeLA-Aの場合、症状が無ければ必ずしもお薬による治療は必要ありません。
悪化させないように食事内容や生活習慣に気を付けるようにしましょう。

生活習慣の注意点

1
胃の中に食べた物が長時間胃にとどまると逆流する機会が増えます。
  • 脂肪分の多い食事は胃からの排出が遅れます。
  • 高浸透圧食と呼ばれる、特に甘いもの(あんこや饅頭、チョコレート)は胃の中にとどまりやすいです。
2
下部食道括約筋(LES)が緩むと胃酸が逆流しやすくなります。
  • アルコール、炭酸飲料、喫煙、高脂肪食はLESが緩みます。
3
胃にかかる圧力が高くなると、食道への逆流を起こしやすくなります。
  • 食事中のコルセットや前かがみの姿勢、食後すぐの筋トレや重いものを持ち上げる力仕事はお腹の中の圧力(腹圧)が上がるため、逆流しやすくなります。肥満は腹腔内圧の上昇などの原因となります。
  • 大食い(ドカ食い)も胃の中の圧力が急上昇します。
4
姿勢に注意して胃酸の逆流を抑えましょう。
  • 食べた後、すぐ横になるのは避けましょう。
  • 症状がある時には就寝の際に頭を少し高くして寝ましょう。
5
胃酸の分泌を誘発する食べ物の過度な摂取はやめましょう。
  • カフェインや柑橘類、香辛料などの刺激物は胃酸の分泌を活性化させます。
    なお、コーヒー飲料はカフェインレスでもコーヒー自体に含まれるクロロゲン酸という物質が胃酸分泌を促進します。

毎日毎日気を付けると疲れてしまいますので、症状のある時や、お薬での治療中は特に気を付けましょう。

お薬の治療にはどんなものがありますか?

食生活・生活習慣に気を付けても症状の改善が見られない場合、また、症状が無くてもGrade LA-B以上の逆流性食道炎の方はお薬による治療が必要です。

胃酸が逆流することを止める薬はありませんので、薬物治療としては、逆流してくる胃液の酸度を和らげることが中心となります。

酸分泌抑制薬(PPI、P-CAB、H2RA)は代表的なものとして下記が挙げられます。

  • PPI:エソメプラゾール(ネキシウム®)、ランソプラゾール、ラベプラゾール、オメプラゾール
  • P-CAB:ボノポラザン(タケキャブ®)
  • H2RA:ファモチジン(ガスター®)

酸分泌抑制薬以外のお薬としては、食道や胃の動きを改善するお薬(モサプリド)や漢方薬(六君子湯、半夏瀉心湯)があります。

薬物治療のポイント

一旦は症状の消失を目指して相応しいお薬をしっかり内服して頂き、生活の質の改善を行います。症状の改善がみられた後には必要最低限のお薬の量に調整していきます。生活習慣に気をつけるだけでも著しく改善する場合もあります。
ただ、症状が完全になくなってもお薬を止めると再発率が高い病気ですので、症状が再燃した場合や、「夕食を食べすぎた」「外食で食事が濃かった」際に、「必要に応じて」お薬を服用するのがお勧めです。

当院では胃食道逆流症および逆流性食道炎の診断・内視鏡検査・治療を行っております。「胸やけ」や「口の酸味/苦味」などの症状にお心当たりのある方、検診で逆流性食道炎と診断された方などお気軽にご相談ください。

文責

ほその内科おなかクリニック

院長 細野 智子

  • 医学博士
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化管学会胃腸科専門医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 日本内科学会認定内科医
  • 緩和ケア講習会修了
  • 日本泌尿器科学会専門医(〜平成29年)
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