こんにちは。
先週から、外来の順番案内表示と発券機を導入致しました。
患者様の番号控えにはQRコードが付いておりますので、お待ちの間に外出先からも待ち時間が確認できるようになっております。
ご予約頂いても時間がずれることがあり、少しでも待ち時間を有効活用頂けますよう努力して参ります。
ご迷惑をおかけいたしますが、引き続きよろしくお願い致します。
さて、お肉ブームのブログに続き、少し濃い目のトピックスです😅。
ときどき、患者さんからエゴマオイルやココナッツオイルなどについてご質問されることがあります。
また、スーパーでも「エゴマオイル配合」とかよく見かけますよね。
別に「エゴマオイル」が嫌いなわけではないのですが、
健康食品系で最近多く見かけるのがたまたま「エゴマオイル」なので、
こちらを例に挙げて、
今日は「健康食品系」の考え方・捉え方について個人的見解を述べようかと思います。
基本的に、食品・サプリメントに分類されるものを扱う場合には、
医薬品と違い営利目的になりますので、様々な利権を考慮する必要があります。
大企業の販売しているものでも同様で、特にテレビや雑誌で取り上げられるようなケースでは注意が必要です。お薬ではありませんから、「個人による感想です」が通じるからです。
エゴマオイルはω3系脂肪酸(n-3系脂肪酸ともいう)の一つであるαリノレン酸 (alpha-linolenic acid: ALA)を多く含む食品の代表格として挙げられています。
ALAにどのような有効性があるか調べてみましょう。
ALAはω3多価不飽和脂肪酸の一つで、他には魚油に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)、DPA(ドコサペンタエン酸)などがあります。 ω3系脂肪酸は必須脂肪酸で体内で生成できないため、欠乏するとおもに皮膚炎症状や成長障害が出現しますが、日本では普通の食事を食べていれば病気レベルの欠乏症になることはないでしょう。
体に必要な脂肪酸で、悪い脂肪酸ではないことは確かですが摂取すればするほどよいものではありません。脂質ですから摂り過ぎれば当然太ります。ただ、日本人を対象とした試験でαリノレン酸を1日4.8gに摂取してもLDLコレステロールの値は上昇しなかったとする報告があります。
一般論として青魚や植物油を含め、食品から不飽和脂肪酸を適度に摂取することは体にいいと思います。しかし、多価不飽和脂肪酸(DHA、EPA、ALA)の有効性は魚を食べる習慣のない国で特に顕著に現れており、「寿司好き」の日本人では欧米人に比較すれば十分摂取できている可能性があります。
比較的新しい2018年のCochrane review(1)ではω3系のサプリメントを含む脂肪酸は、心筋梗塞や脳卒中などによる血管系イベントによる死亡率に有意差(効果)が認められないと結論しています。ω3系脂肪酸と一括りになっているため、ALAだけでサブグループ解析してみるとわずかに心臓保護作用が認められる可能性があるとしています(3.3%⇨2.6%に低下)。突き詰めれば効果があるかもしれませんが、この程度の効果は1000人のALA摂取に熱心な人のうち、心筋梗塞で死亡するのを回避できるのは1人程度ともいえます(NNT: number needed to treet≒1000)。999人は摂取してもしなくても恩恵を受けることができないのです。
ω3系脂肪酸の摂取はもちろん必要ですが、そこまで神経質にならなくてもよいのではないでしょうか。魚油(DHA、EPA)を多く取ろうと青魚ばかり食べていると、魚介類に含まれる水銀や鉛、ダイオキシンなどの有害物質が悪影響を及ぼす場合もありえます。
また、マヨネーズの中にALAを配合した製品もありますが、仮に「ALAが体によい」としても「ALAを含んだマヨネーズが体によい」という結論は引き出せません。世の中は様々なミスリーディング(ひっかけ)が潜んでいますので気をつけましょう。
エゴマオイル は突き詰めれば体によいかもしれませんが、他の食事や生活習慣の影響力の方が遥かに大きいことを意識することが大切です。
結局のところ、特定のものをたくさん摂取しすぎず、バランスの良い食事が良いのではないか、と個人的には思っております。
本日は、ながながと書いて、至極当然の結論になってしまいました。