こんにちは。
ほその内科おなかクリニックは、今日で開院1ヶ月を迎えることができました。
引き続き身を引き締めて、地域の皆様のかかりつけとして役割を果たせるようスタッフ一同がんばって参ります。

さて、ときどき「大腸がんや大腸ポリープは予防できますか?」とのご質問をいただきます。
この質問の回答はこれだけ!というわけではないのですが、
昨今の「1ポンドステーキ」や「熟成肉」などの赤身肉ブーム(しかも野菜は全然摂らないメニュー)に消化器内科医師としてやや気になっていることを今日はお話しようと思います。
しっかりお伝えしたいと思ったら長くなってしまいましたが、お付き合いください。

ニュースになったこともありますのでご存知の方も居られるとは思いますが、
赤身肉(red meat)と加工肉(Processed meat)は発がん性があると認定されています。

これはIARC(国際がん研究機関)による研究結果で、
700以上の赤身肉に関する疫学的研究データと
400以上の加工肉に関する疫学的研究データを含んだ
800以上の異なるがん研究データに基づいており、、、要は非常に信頼性の高い結果です。
残念ながら、肉の食べ過ぎは特に大腸がんのリスクを高めるのは確実なようです。

さて、ここでいう赤身肉や加工肉とは何でしょうか。

ソーセージ等のイメージ画像牛肉、豚肉、羊肉、馬肉、ヤギ肉を含む哺乳類の肉と定義されています。
つまり、鳥や魚は対象外になっています。
加工肉とは、発酵、燻製、塩漬けなどの保存用に加工処理を行ったお肉のことです。
具体的には、フランクフルトやソーセージ、ビーフジャーキー、缶詰の肉などです。

赤身肉、加工肉ともに発がんリスクがあるとされていますが加工肉の方がランクが一つ高い(確実性があがる)です。
赤身肉はグループ2A:ヒトに対しておそらく発がん性がある。
加工肉はグループ1  :ヒトに対する発がん性がある。

そもそも何故、赤身肉や加工肉に発がん性があるのでしょうか。

BBQなどの直火、高温になったフライパンなどで直接お肉を焼くと多環芳香族炭化水素や複素環芳香族アミンなどの発がん性物質が多く生成されることによります。では、生肉で食べれば安全なのか、というと細菌や寄生虫の問題があるので絶対に生食はおすすめできません。

加工肉は製造過程で防腐剤や鮮度維持や発色のための薬品が使用されることが多いため、赤身肉とは発がんリスクが1ランク違うのは納得できます。

何グラムまでなら食べてもいいの?

非常に残念なことに1日あたり50gの加工肉を食べるごとに大腸癌のリスクが増加、
1日あたり25gの摂取でも大腸癌のリスクが上昇するとされています。
(世界最大の独立した癌研究機関慈善団体のひとつCancer Research UKの論文による。47万5000人を追跡しているデータで、素晴らしい研究だと思います。ご興味のある方はリンクから御覧ください。
Meat intake and cancer risk: prospective analyses in UK Biobank
International Journal of Epidemiology, Volume 49, Issue 5, October 2020, Pages 1540–1552)
この論文では加工肉は極力控えて1日あたり70g程度の赤身肉が推奨されています。

じゃあ、先生は肉食べないんですか?

もちろん、、、

赤身肉もソーセージも食べます!

先程お話したように、赤身肉、加工肉は大腸癌のリスク上昇に関連はしていますが、
タバコが関連する死亡が年間100万人とすると、
お酒での死亡は年間60万人、
肉が関連する癌による死亡は3万人に相当するとされています。

これを多いととるか、少ないととるかは個人の判断によりますが、

まぁ、何事もほどほどにバランス良くがよろしいのではないかと思います。全く食べないのも味気ないですしね。

ただ、冒頭で述べたように、1ポンドのステーキを週に1〜2回食べるなど食べ過ぎにはやはり注意する方が良いように思います。大腸癌だけでなく、いろいろな生活習慣病にも繋がりますしね。

肉を食べると大腸癌が増えるのはおそらく事実であり、
食事の欧米化により魚より肉を食べるようになってから、日本人の大腸癌罹患率は上昇の一途となっています。

40歳を過ぎたら定期的な検診をお勧め致します。

リスがご案内イメージ画像『ほその内科 おなかクリニック』では、ご希望される方には鎮静薬を用いて苦痛を軽減しながら大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)に臨んでいただくことができます。