こんにちは。

4月になり桜をはじめとする春の花々が綺麗な季節となりました。

新入社員の方や転勤された方など、新しい環境で頑張っておられる方も多いかと思います。

5~6月は会社の健診も多くなるため、筋トレ等でジムにお通いの方はちょっと気をつけておいた方が良いことを今日は書いてみます。

 

筋トレをすると健診結果に異常値がでる?

ここでは、主に筋トレなどのハードな無酸素運動の場合についてご説明しようと思います。ランニングマシーンやゆっくりとした水泳などの有酸素運動では異常値にならないことが多いです。

 

なお、筋力トレーニングは米国の身体活動ガイドラインでは、あらゆる年齢層において週2回程度行うことが推奨されています。日本人向けの適度な運動については別途記載いたしましたのでこちらをご覧ください

 

採血で異常がでるのは主に以下の4つです。

  1. AST(GOT)、ALT(GPT):肝機能
  2. CK (CPK):筋肉に含まれる酵素
  3. UA:尿酸
  4. クレアチニン(Cre)、尿蛋白:腎機能
AST(GOT)、CK(CPK)が高い場合

ASTは健診や人間ドックでは肝臓の項目に入っていることが多いですが、実は肝臓以外にも筋肉など体の多くの組織に含まれる酵素です。

CKは主に筋肉に存在する酵素のため、ASTやCKは筋肉痛を感じるくらいの負荷のかかる運度をした後であれば上昇するのは自然な現象です。もちろん、異常値が出た場合には慢性的に異常がみられないかの確認は必要です。

ALTが高い場合

たまに、ALTの上昇をともなう方もおられます。この場合は要注意です。ALTは基本的には肝臓にしか存在しない酵素のため、肝臓に障害が起きている可能性が高いです。

一時的に上昇し落ち着くことも多いですが、ジムや運動教室に通われプロテインを過剰に摂取されている場合は要注意です。

プロテインの過剰摂取により使われなかったプロテイン(アミノ酸)は、アミノ酸の形のままで体内に蓄積することができません。

一部はエネルギーとして最終的に糖(グルコース)や脂肪の合成に使われ肝臓に貯蔵されます。

ですので、やせ型の方でも脂肪肝になり、NASH(非アルコール性脂肪肝)が起こることがあります。とくに急激なダイエットで高蛋白・低カロリーのバランスの悪い食事をされている方は要注意です。食事以外の補充目的にプロテインを摂取される場合は、過剰にならないように気をつけましょう。
健康維持のためであれば、食事がしっかりできるならプロテインを摂らなくても健康な筋肉や筋力は自然についていくと個人的には思っています。

 

UA:尿酸値が高い

(1)筋肉が壊れて筋細胞の中にあった尿酸が血中へ流入する、(2)運動によって乳酸がたまり、腎臓で尿酸の排出より乳酸の排出の方が優先されることにより、血中に尿酸が余ってしまう2つが原因です。一般的には運動後の一時的な生理現象ですので、明らかに筋トレ後のみの上昇であれば心配は要りません。

Cre:クレアチニンが高い

クレアチニン(Cre)は体の筋肉量に比例して高くなります。筋肉質でも1.2を超えるようだと他に原因を考える必要があります。「シスタチンC」という筋肉量に影響を受けない物質を測定することで本当の腎機能を知ることができますが、蛋白尿がなければ体格をみて様子観察することが多いでしょう。

筋トレ後は尿蛋白も陽性になることがあります。これはプロテインやお肉などを過剰に摂取したり、体内でたんぱく質が過剰に生成される(上記のASTやCKも主にタンパク質からできている酵素です)ことで、処理しきれないタンパク質が腎臓から漏れ出てしまうことが原因です。

 

無酸素運動により意外に多くの項目に異常値がでることがあるとお思いになったでしょうか?

健診は平常時の異常値を見つけることが目的です。筋トレ直後は普段とは違う状況が身体のなかで起こっていますので、2、3日は控えてから健診を受けるほうが良いでしょう。健診で上記の異常値がでた場合は、異常値になる病気がある可能性はもちろんありますので「筋トレのせいだ」と決めつけずに病院を受診されてくださいね。